トーヴェ・ロー(Tove Lo)

世界で成功を収めるスウェーデン出身のアーティストはそれほど珍しいものではなくなっているが、アーティスト、ソングライターとしてここまで国際的な注目を集めるスウェーデン女性はトーヴェ・ロー(Tove Lo)を除いて他にはいない。例えば彼女の代表曲の一つとも言える、失恋のトラウマから中毒状態になった女の子の心境を歌ったダークなポップソング「Habit – Stay High」はアメリカのビルボードチャート(US Billboard Hot 100)で最高位3位となるなどスウェーデン出身のアーティストとして20年ぶりの偉業を成し遂げた。この曲は英国や豪州、カナダなど英語圏を中心に軒並みトップ10の大ヒット曲となった。

そんな彼女のキャリアは生まれ育った地であるストックホルムで始まった。10歳の時にはすでに最初の曲を作曲したという彼女は、セーデルマルム島にある高校の音楽コースに通う。高校卒業後にはインディーロックバンドのメンバーやデモテープの作成を通して、レコード制作や作曲のノウハウを身につけ、その後2011年に同じくストックホルム出身のスウェーデン人音楽プロデューサー、マックス・マーティン(Max Martin)と共同作業でロサンゼルスにて作曲を行っている。この時の経験が、その後自身のヒット曲をはじめ、映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(Firty Shades of Grey)」の主題歌である大ヒット曲、エリー・ゴールディング(Ellie Goulding)の「Love me like you do」やニック・ジョナス(Nick Jonas)のシングル「Close」の国際的なヒットにつながっている。

またアーティストとしても国際的な成功を収め、自身が崇拝するコートニーラブ(Courtney Love)やスタイル・アイコンとして挙げるジャニス・ジョップリン(Janis Joplin)などのイメージをよりメインストリームで現代的なダークポップへと発展させた世界観を生み出している。サウンド面では同じくスウェーデン出身のロビンのようなシンセポップ、そしてリッケ・リーのようなインディ寄りのポップサウンドにも影響を受けている。そういったサウンド要素に加えて身近でありながら重い、セックスやドラッグなどをテーマとして扱った歌詞も彼女の世界には欠かせない要素である。女性の性的興奮を表現する造語であるセカンドアルバムのタイトル「レディーウッド(Lady wood)」からもそんなトーヴェ・ロー(Tove Lo)の世界を垣間見ることができる。

社会的には男女平等が進んでいるスウェーデンにおいても、曲提供を活発に行う女性のソングライターは非常に限られている。自身のリリースする曲の国際的な認知ももちろんそうであるが、歌い手としてだけではなく音楽の作り手としてのトーヴェ・ロー(Tove Lo)のここ数年の活躍は目覚しいものがある。

(Text: Yoshihiro Takahashi)

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