スニーカーズ・アン・スタッフ (Sneakersnstuff、SNS)

スウェーデンではちょっと前まで、誰かに「どんなスニーカーを履いてるの?」と訪ねたら、「スニーカー? トレーナーなら持ってるよ」といった前時代的なやり取りが交わされたことだろう。英語の“トレーナー”とは米語の“スニーカー”とほぼ同義だが、ひと昔前まではトレーニング・シューズ、つまり“運動靴”としての意味合いが強く、おしゃれなものという認識が浸透していなかった。しかし長く続いたこの状態は、ペーテル・ヤンソン(Peter Jansson)とエリク・ベーイェソン・ファーゲリンド(Erik Börjesson Fagerlind)がヴィンテージや限定品を多く取り揃えたスニーカー専用店をスウェーデンで初めて開いたことで一変。今日ではショップ名のイニシャルである「SNS」の愛称で若者を中心に強く支持されている。

スウェーデンにおけるスニーカー文化は、過言なくSNS以前と以降では大きく異なる。 SNSのオープン以前は、チェーンのスポーツ用品量販店以外でスウェーデンでスニーカーを扱うショップなど皆無に等しかった。それに量販店で手にするスニーカーだと、オリジナリティに欠けるものがほとんどで、オシャレを渇望する若者たちを満足させるに足るものでは到底なかった。90年代のスウェーデンの若者文化はイギリス(特にロンドン)から強く影響を受けていたが、実際にそこに訪れるスウェーデン人たちの多くがスニーカーではなくトレーナーをこぞって購入していたのだ。というのも、この時代のスウェーデン人はアメリカのスニーカーという名称や同国のスニーカー文化との接点が極めて少なく、親しみがなかったのだ。しかし、1989年からファッション業界で活動していたペーテルとエリクの2人にとって“スニーカー”は常に一大問題だった。90年代に入ると、「あのスニーカーはどこで買ったの?」という質問が2人には多く寄せられ、やがて格好いいスニーカーがほしいならこの2人に聞け、というのが彼らの周辺では常識のようになっていった。そこでペーテルとエリクはスニーカーを欲する友人知人らからお金を集めてニューヨークのブルックリンへ赴き、彼らのためにスニーカーを購入していたのだが、もちろんビジネスともいえないような個人的なやり取りなので大した金にはならず、せいぜい往復のエアチケットが買えるぐらいのものであった。

それから数年を経た1998年、彼らが本気でスウェーデンにスニーカー文化を根付かせるべくオープンさせたのがここスニーカーズ・アン・スタッフだ。元々は入手困難なスニーカーをネットショップで販売するというアイデアでスタートしたのだが、ソフォにあるオフィスには道に面した窓があったため、ドアを開けっ放しにしておいて、客が入ってきたら直接売ってみよう、ということになり、路面店としてのSNSも同時にスタートしたのだ。業界内でのネットワークが広く、そして彼らのスニーカーに関する知識が随一であったことも相まって瞬く間にSNSの名は知れ渡ることとなり、オリジナリティの高いクールなスニーカーで足元を飾りたいスウェーデン人にとってSNSは“ザ(the)スニーカー・ショップ”となった。言うまでもなくSNSは成功をおさめ、より大きな場所に移ることとなった。

今ではアクセサリーからスニーカーの関連商品等を広く扱うまでにその規模を拡大している。SNSはこれまでまさにスウェーデンにおけるトレンドの最先端を担ってきたが、今日では全スウェーデンの中で“オンリー1”のスニーカー・ショップ、といった存在にまでその株を上げている。スウェーデン人が“トレーナー”ではなく“スニーカー”と口にするようになった事実は、まぎれもなくこの2人の功績によるものであり、スウェーデンにおけるスニーカー文化を開花させたのも彼らをおいて他にない。

ペーテルとエリクはこれまで、SNSの名前でいくつかのブランドとのコラボレーションを手掛けている。2003年には「Puma SNS Basket Hemp」と銘打たれたプーマのSNSエディションを手掛けた。これは136足限定のエディションで、その数字は彼らのオフィスの番地が由来とのことだ。その後プーマとは3度にわたるコラボレーションを手掛け、現在ではニュー・バランスとのコラボ企画が進行中だ。入手困難は必至と言われているが、ストックホルムに行けない人でもSNSのネットショップからオーダーすることも可能だ。
(Text:Gustaf Kjellin / Photo:Martin Ekelin)

エリア: ソフォ
地下鉄駅: メードボリャプラツェン(Medborgarplatsen)、スカンストゥル(Skanstull)
営業時間: 月~金曜11:00~18:30、土曜11:00~17:00、日曜12:30~16:30
住所: Åsogatan 124
電話: +46-8-743 03 22

公式サイトはこちら ≫

Tags: , , , , ,

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *