スルッセン地区再開発計画 (Slussen)

幾年にもわたる公開討論の末、2009年4月にストックホルムの中心エリアであり交通の要所でもあるスルッセン再開発に関する、おそらく最終的な決定がなされた。セーデルマルム と ガムラ・スタン を南北につなぐ要所としてスルッセンはストックホルムの最も重要な役割を担っている場所で、両島をつなぐ橋から近隣の街並みを含んだエリアの再開発が議論されていた。1935年に完成された現在の建築構成は、当時ル・コルビュジェら有名建築家から称賛の声を集めたが、現状は経年のダメージにより崩壊しつつあるため修繕か取り壊しかの早急な決定が求められていた。

決断の先送りを何年も繰り返し、ストックホルム市はようやく2007年に、スルッセン地区の修繕ではなく取り壊しと新たな機能の構築という決定を下した。とはいえスルッセンは6本のストリートが交差し、多くのバス、地下鉄、電車、船などの交通網が集中するエリアであるため、新たな建築構成を計画することは決して簡単な作業ではない。昔から機能を重視し、近隣の建築物との調和を求め、そして何よりも美しくデザインをしなければならない宿命を背負わされた街ストックホルムで、なおかつ対岸には息をのむような素晴らしい中世建築街ガムラ・スタンがあるため、このプランはまさに困難を極めた。

1992年から何度もコンペが行われてきた結果、2009年4月17日にストックホルム市は、イギリスのフォスター+パートナーとスウェーデンのベリュ建築事務所のコラボレートによる提案を採用したことを発表した。
市長のステン・ノディーン(Sten Nordin)によってこれが最終的な決定であり、着工予定は2012年、完成は2018年を目指すとの声明がすでに出されている。

コンペ作品の中には、オペラハウスやダンスホール等を収容したり前衛的な建築物が含まれていたりと、特にヴィジュアル面で挑戦的なアイデアも寄せられたのだが、そのような類のものにはストックホルム市は一切見向きもしなかった。その大きな理由としては、スルッセンの対岸にあり歴史的建造物がひしめくガムラ・スタンにスポットを当て続けなければならないと考えたため、この新たな建築物には控えめな役割(デザイン)を求めていたからだと言われている。 自動車等の「乗物」に重点が置かれている現状を打破し、歩行者やサイクリストにやさしく、そしてメーラレン湖の湖水が建造物によってできるだけ隠されないように、というのがこの計画の目的だ。

ストックホルム市は寄せられた提案の中から最も平凡なものを選び、さらに角を削っていわば面白みの少ないものにしてしまった、とストックホルマーの間ではもっぱらだ。しかし、建築のみならず様々な分野において左右ではなく中道を選ぶという昔ながらの保守的な風潮が根強く残るこの国では、これは目新しいことではない。 しかしその反面、ガムラ・スタンのように美しい景観の街並みが最高の状態で保存されているのも、この性格によるものだと言えるだろう。
(Text/Photo:Martin Ekelin、Graphic:Foster+Partners and Berg Arkitektkontor)

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