マガスィン・トレー(Magasin 3)

スウェーデンやストックホルムを訪れる大半の人が、短い滞在時間の中で行動しているのではないだろうか。ましてやそういった旅行者の多くが、ガイドブックいわく“行くべし”的観光地を往々にして目指すものだ。そんな観光地の中でもアート分野の代表といえば モデーナ・ミュセート(Moderna Museet・現代博物館)が挙げられる。ここにスウェーデン最大級の現代アート・コレクションがあるのは疑いようのない事実だ。しかし、ちょっと勇気を出して、小規模だが大胆で個性的なコンテンツに満ちあふれたこのアート・ホール、マガスィン・トレーに足を運ぶのだって前者に劣らず興味深い。

ストックホルム市の北東端にフリーハムネンという港湾エリアがある。今でこそ寂れた工場地帯の様相を呈しているが、1950年代にはまさに映画で見るようなにぎやかに港だった。ここフリーハムネンのとある倉庫が、“第3倉庫”の意味を持つマガスィン・トレーだ。マガスィン・トレーはこれまでに幾度も、国内外のコンテンポラリー系のアート・ホールの中で、自らがスウェーデンで最も重要かつ前衛的なアート・ホールの一つであることを示している。

マガスィン・トレーはローベト・ヴァイル(Robert Weil)により、彼の投資会社 プロヴェントゥス(Proventus)の出資を経て1987年に設立された。この会社は、ユダヤ劇場(The Jewish Theater)や時事問題を議論するためのニュース・サイト「ニュースミル(Newsmill)」といった文化的な投資を行っている。またプロヴェントゥスは、アルヴァ・アールトのオリジナル家具をプロデュースしているフィンランドのメーカー、アルテクの過半数オーナーでもある。彼らが公的にではなく、民間として投資をしているという重要な事実が、公的機関が運営するアート・ホールでは夢にもお目にかかれないくらい前衛的で、はたまた公共性を無視した展示すら可能にしているのだ。

マガスィン・トレーは2500平方メートルもの広大な面積と高い天井とによって、アート作品を平面的にも立体的にもディスプレイできるようになっている。毎年、6~8つの展示を行う中で、特にフォーカスされるのが3次元作品だ。展示フォーマットは、ソロ、グループ展、テーマ別などがあり、展示アーティストらはしばしば、観客に対してユニークに見えるよう場所に応じて展示を依頼されている。ここで唯一の永続的インスタレーションは、1992年完成のジェームズ・タレル(James Turrell)による照明作品「Dawning」だ。ここに来てこれを見逃すのは、罪以外の何ものでもない!

マガスィン・トレーは展示毎に作品を1点購入するようにしているので、年を経るごとにその点数は膨らみ今では600点ものアートコレクションを所有するに至り、これらコレクションの中から世界中の一流アート施設に作品を頻繁に貸し出している。 マガスィン・トレーでこれまでの展示リストは、ピピロッティ・リスト(Pipilotti Rist)、ギルバート&ジョージ(Gilbert & George)、リア・スィンガー&リー・ラナルド(Leah Singer & Lee Ranaldo)といった多数多彩なアーティストで占められている。エントランス付近には品揃え豊富なカフェとライブラリーがあり、ここでは食事やアート書籍の閲覧ができる以外にも、アーティストによるトークやレクチャー、セミナーがしばしば行われている。確かに、マガスィン・トレーに来ればきっと心もカラダも満たされるに違いない。

マガスィン・トレーへは、地下鉄駅イェーデット(Gärdet)から1番のバスで終点まで乗車(乗車時間5分ほど)。(Text: Gustaf Kjellin)

エリア: エステルマルム(のちょっと北東部)
バス停: バス1番の終点駅「Frihamnen」
営業時間: 木曜11:00~19:00、金~日曜11:00~17:00
住所: Magasin 3、Frihamnen
メール: art@magasin3.com
電話: +46-8-545 680 40

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