ヤーコブ・ダールグレン(Jacob Dahlgren)

あまりに日常的すぎる外見から、たとえば浴室にある体重計のようなものが人々に魅力的な印象を与えられるとは考えにくい。しかし、ヤーコブ・ダールグレンが手掛けたそれらを目にしたら、あなたはきっと考えを改めることだろう。2006年にストックホルムのボンニエシュ・コンストハッル美術館(Bonniers Konsthall)で開催された彼の個展「Heaven is a place on earth」が好評を博したわけだが、そこで彼は、日常的なモノたちが如何に魅力的であるかを表現した。ダールグレンは、アートホールのフロアに数百個もの体重計を敷き詰め、色彩豊かな巨大パターンをつくり出した。来場者の多くは、無数の体重計の上を歩きまわったり自身の重さを確かめてみたりと、その一風変わった“作品”を思い思いに楽しんだ。

個展「Heaven is a place on earth」は、まさにダールグレンの芸術的志向を代表するもので、その作品は巨大なインスタレーションから彫刻、絵画にまで及んでいる。彼のアート作品にはヴィヴィッドな色彩が多用されていて、多くがストライプや四角形、グラフィカルな模様の組み合わせで表現されていて、どこか幾何学的な抽象画を想起させる。彼は食品を入れるパックやコーヒーカップ、そして前述の体重計といった日常的なモノや工業製品をアートの対象にする。そして、彼の求める作品の創作にあたっては、それらを反復的に使用するのだ。この特徴的なスタイルは、彼が複数の学科を横断的に学んできたことが背景にあるのかもしれない。彼は、ストックホルムのクンリガ・コンストヘーグスコーラン王立美術大学と、同じくストックホルムにありグラフィック技術教育に特化したグラフィークスコーランで学んだ経緯がある。

スウェーデンのアート業界では、ダールグレンは“ザ・ストライプ・アーティスト”の異名を持つ。それは、彼の創作活動の大部分が、ストライプをつくり出すために割かれるためだ。このジャンルは長い間グラフィック・デザイナーのトム・ヘドクヴィスト(Tom Hedqvist)が第一人者だった。ヘドクヴィストは洗練されたストライプ・パターンを好んで編み出し、ティオ・グルッペン(10-gruppen)での創作活動や、今やスウェーデンの最大乳製品会社「Arla」のアイコン的な牛乳パックのデザインで知られている。しかし、今日ではダールグレンがスウェーデンで最も“ストライピー”な人物としてのタイトルを勝ち取りつつある。それというのも、彼は、一生毎日ストライプのTシャツを着るとまで宣言しているからだ。実はこの“プロジェクト”は2004年から継続中で、彼をアーティストのみならず、“歩く展覧会”たらしめているのだ。

ダールグレンは、ヴェネツィア・ビエンナーレの北欧パビリオンではスウェーデン代表を担い、ニューヨークのMoMA PS1やストックホルムのモデーナ・ムセート現代博物館といった名高い美術館でもアート・ショーを開催してきた。彼へのニーズは留まるところを知らず、2011年にはヨーロッパのいくつかのエキシビションでスウェーデンの代表を務めることになっている。
(Text: Gustaf Kjellin / Photo: Bonniers Konsthall & Jussi Tiainen)

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