ストックホルム ガイド 建築Architecture

ストマトールのネオンサイン (Stomatol)2010.02.18

ストマトールのネオンサイン Stomatol日本に住んでいれば巨大なネオンサインなど見慣れたものだが、スウェーデンならば看板一つ見つけるのにも運が必要だ。大きな広告板やネオンサインがきわめて少ないため、スウェーデン人は、そういったものはスウェーデンの都市にはあってはならないものであると思い至っている。同時に、スウェーデン人が外国の大都市を訪れた際、煌々と明滅するネオン群を目にすると大いに感動を覚えるし、それらが自分たちの国にはないということをあらためて実感する。しかし、スウェーデンにもいくつかのネオンサインがあり、それらは確かに街の人々に愛されている。

1900年代初頭、スウェーデンにネオンサインが灯り始め、中でも最初に完成したのは、当時最も人気があった歯磨き粉の老舗ブランド「ストマトール(Stomatol)」のネオンサイン。ストマトールは当時のスウェーデンで最も人気があった歯磨き粉だ。このブランドは、“眩いホワイトと輝くスマイル”の意味を込めた「ストマトール・スマイル」を謳い文句にしていて、良い歯と同義語にまでなった。

そのネオンサインとは、ストマトールのチューブから歯磨き粉を下の歯ブラシに付けている図柄のネオンで、アーティストのマウリツ・ラーション(Mauritz Larsson)の作だ。初めはただ点灯しているだけだったが、数年後には1361ペアの赤・黄・白の25ワット電球を用いて自動的に明滅させることを可能とし、歯磨き粉がチューブから出て歯ブラシに至るモーションを再現した。

ストマトールのサインを見るのに最も適した場所は、スルッセン地下鉄駅の上にあるセーデルマルム広場(Södermalmstorg)だ。本来このサインは、このサイン同様にスルッセンのクラシックなランドマークでもある「カタリーナヒッセン(Katarinahissen)」という鉄骨むき出しのエレベーターに設置されていたが、1933年にセーデルの小高い丘にそびえ立つビルの北壁に移設された。今日、このサインはストックホルマーにとって神聖なものになっていて、街の輪郭線を形作る重要かつ有名なディテールにもなっている。

ストマトールのネオンサインは2009年に100周年を迎えた。文化財としての基準を満たしているにも関わらず、未だ文化財として認定されていない。その理由は、スウェーデンではネオンサインが文化財の適用外であるためだ。そのためこのサインには文化財ならば当然あるべき安全網が設置されておらず、もしビルのオーナーがそれを取り外そうと思えば、それを防ぐ合法的な手立てはない。無論、そんなことをすれば130万人のストックホルマーの逆鱗に触れるため、、、
(Text: Gustaf Kjellin)

エリア
メードボリャプラツェン
地下鉄駅
: スルッセン(Slussen)
住所
: Klevgränd 1B