フォトグラフィスカ・ミュセート (Fotografiska Museet)

セーデルマルム北東側の岸壁に沿って聳える巨大なレンガ造りのビルに、スウェーデン・カルチャーシーンの最新ニュースでもある「フォトグラフィスカ・ミュセート」(“写真博物館”の意)が2010年5月に完成した。この古い建物は本来は税関のビルで、当初はスウェーデンで最も有名なポップグループであるABBAの博物館をここに作る計画がストックホルム市によって進められていたが、このプロジェクトはあえなく頓挫。それに代わり、写真業界をよく知るヤン(Jan)とペール(Per)のブローマン(Broman)兄弟がこのビルの契約を引き継ぎ、プロジェクトを音楽から写真へと方向転換させる。その結果、2500平方メートルにも及ぶ、世界でも最大級の規模を誇る写真博物館がここに誕生した。

館内はいくつかのフロアに分かれていて、それぞれ趣の異なる展示が行われている。オープニング展示はアニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)、スウェーデン人写真家のレンナット・ニルソン(Lennart Nilsson)、ジョエル=ピーター・ウィトキン(Joel-Peter Witkin)、ヴィー・スピアーズ(Vee Speers)の4人をフィーチャーした。このオープニングの展示セットは多くの来館者を集め、この事実が、フォトグラフィスカがスウェーデンのカルチャーシーンにおいてそれまで満たされていなかったアート写真展示への多大なるニーズに見事に応えたことを証明している。オープニングに続いたのは「Fashion」という展示で、世界的に有名な写真家51人をフィーチャーし、200点に及ぶ写真で構成された、それまでヨーロッパで開催されたファッション写真展示会の中で最も広範囲に渡る展示となった。この展示は、フォトグラフィスカがオープニングでの成功が偶発的なものではなく、継続的に質の高い写真をストックホルマーに提供できるということを示した。

フォトグラフィスカ・ミュセートはコンテンツや規模だけでなく、その資金調達法に関してもスウェーデンにおいては新しいタイプの博物館と言える。この博物館は公的なものではなく、むしろビジネスとして運営されている。したがって、公的機関が運営する競争相手に比べて、クオリティの高い展示を行うための資金調達が行い易いということになる。反面、アートはお金に服従すべきではないという保守的な考え方が根強いスウェーデンにおいては、こういった運営方法を異端視する傾向があるのも確かだ。したがって、フォトグラフィスカのこういった側面は、文化的なメディアの中で博物館のような文化機関のあり方や資金援助に関する議論を促した。しかしながら結果は明瞭で、フォトグラフィスカが行う展示はワールドクラスで、ストックホルマーはその展示を確かに楽しんでいる。

フォトグラフィスカに隣接するブックショップは、フォトアートや写真関連の出版物においてはスウェーデン随一の蔵書量を誇っている。ビルの最上階には、眼下にガムラスタンの水辺を見渡せるレストランと、コンテンポラリー作品を展示および販売するギャラリーもある。フォトグラフィスカの営業日は、月曜定休が一般的なスウェーデンの博物館としてはきわめて寛大にも毎日営業している。
(Text: Gustaf Kjellin)

エリア: メードボリャプラツェン
地下鉄駅: スルッセン(Slussen)
営業時間: 毎日10:00~21:00
入場料: 大人95クローナ、学生70クローナ、12歳以下の子供無料

住所: Stadsgårdshamnen 22
メール: info@fotografiska.eu
電話: +46-8-50 900 500

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