エル・ペロ・デル・マール (El Perro del Mar)

2003年にこのワンマンバンド「エル・ペロ・デル・マール」をスタートさせたのは、イェテボリ郊外の小さな町メルンダールに育ったサーラ・アスブリン(Sarah Assbring)だ。この一風変わったバンド名はスペイン語で「海の犬」という意味で、彼女がスペインのビーチである犬とのある奇妙な出会いをしたことからインスピレーションを得てネーミングしたとのことだ。レーベル「Hybris」から2005年にリリースされたファースト・アルバム「Look! It’s El Perro del Mar」は前年にリリースされた3枚のマキシ・シングルで構成されたものだ。これら3枚のマキシ・シングルによって彼女はファンのベースを広く開拓し、ファースト・アルバムのリリースによってオーディエンスや批評家らの称賛を集めた。このアルバムでは、彼女はスウィートだがどこか悲しみを湛えたポップソングたちをジュリ・クルーズ(Julie Cruise)を思わせる脆さのある声で見事に歌い上げていて、アルバム自体はドゥ・ワップのコーラスに彩られたノスタルジックなサウンドに仕上がっている。

サーラはやがて、スウェーデン国内のいろんなアーティストたちとコラボレートし始める。たとえば、2006年にイェンス・レクマン(Jens Lekman)と共にスプリット版シングル「Shake it off」リリースし、翌年にはツアーを共もしている。2005年のクリスマスには、イェニ・ウィルソン(Jenny Wilson)とのコラボレーションで、セードラ・テアテン(Södra Teatern)という歴史ある劇場でスペシャルなクリスマス・コンサートを開催。また、2006年にスウェーデンで注目を集め、日本でもいろんなフェスに参加してファンも多いシンガ・ソング・ライターのホセ・ゴンザレス(Jose Gonzalez)ともツアーを共にしている。

2007年、サーラは所属レーベルを従来の「Hybris」からポップ・バンドのコンクリーツ(Concretes)が手掛ける「Licking Fingers」へ移籍すると同時に、セカンド・アルバムの制作に打ち込む。そのセカンド・アルバム「From the Valley to the Stars」は、批評家の大半が5点満点の4点を付け、かつスウェーデン国営放送ラジオの2008年ベストポップを受賞したものの、前作に比べると刺激的でなくなった感が否めない。そのサウンドは、何かに苦悩する彼女を如実に表すようにオルガンの深刻な音が顕著で、教会で録音されたようにも感じられる。アルバム制作の際にスウェーデンの詩人ハッリ・マッティンソン(Harry Martinson)の詩を読み耽ったことが影響したのか、ポップ・ソングよりも子守唄のように聞こえる。

2009年4月にリリースされたエル・ペロ・デル・マールのサード・アルバム「Love Is Not Pop」は、前作で実存主義や永遠性をテーマにして苦悩したことから一転、こちらのテーマは“愛”についてだ。その頃に彼女が大切な人との別れを経験していたことを考慮すると、このテーマにたどり着いたのは不思議ではない。 このアルバムの曲のほとんどを、彼女は2度の旅行の間に制作している。1度目の旅行でニューヨークに滞在していた際に、ルー・リード(Lou Reed)を好んで聴いていたために、彼の詩から強い影響を受けている。2度目のパリでは、映画「Last Tango in Paris」で見たパリへと赴き、最終的に彼女は、この映画からもアルバム名のアイデアを見出している。
(Text:Gustaf Kjellin / Photo:Johanna Hedborg)

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