ドクメント・プレス (Dokument Press)

ドクメント・プレスは、サブカルチャーの情報を本や雑誌、映画などを通して発信している出版社だ。彼らは、ファイン・アート寄りのイラストレーターたちをフィーチャーした本や、スウェディッシュ・レゲエのようにあまり知られていないカルチャー取り扱った本、そしてアートフォトグラフィの写真集などを発行している。しかし、彼らが最もフォーカスしているのは、グラフィティ、そしてそれに関連するカルチャー、すなわちストリート・アートだ。その多くはスウェーデンやヨーロッパのグラフィティ・シーンに重点が置かれている。

ドクメント・プレスは、スウェーデンでグラフィティが流行っていた1992年に、アンダーグラウンド・プロダクション(Underground Production:UP)というファン雑誌としてスタートした。数名の若いグラフィティ・ライターたちがグラフィティを描くことで得たさまざまな経験を発表し、そしてインターネットがまだ発達していなかった当時、より多くの人たちと情報をシェアするためにこのファン雑誌UPがスタートしたのだ。この発案者であるライターたちも年を経るごとにスキルを磨き、それと並行して雑誌のクオリティも高まっていった。そして2000年に、より質の高いものを生み出すべく本格的な出版社として新たな一歩を踏み出した。彼らの最初のリリースとなったのは、スウェーデンにおけるグラフィティ・カルチャーの醸成に不可欠なストーリーを収めた本「They call us vandals」だ。この本は、スウェーデンにおいてこういったカルチャーがどのように発達していったのかということを、現存しないグラフィティの写真を添えて物語っている。そして、グラフィティ・ライターたち自らが、彼らがなぜ描くのか、そしてそれによってどういった結果にたどり着いたのか、ということを克明に語ったインタビューも併載されている。こういった探求的なライティング・スタイルは、彼らの他の本の基本形でもある。

ドクメント・プレスは、92年当時のメンバーの数名が今も制作にあたっている。彼らはみな、グラフィティ・ライターの経歴を持ちつつ、独学でフォトグラファーやジャーナリストになった者たちだ。今やドクメント・プレスは、スウェーデンにおいてマスメディアの穴を塞ぐ存在であるといっても過言ではない。事実、彼らが出版するものへのメディアや読者からの評価はすこぶる高い。その理由として、隣国フィンランドと同様にスウェーデンも、グラフィティにおいては国際的に高い評価を得ているからだろう。

スウェーデンにおいては、大手出版社がこういったテーマに興味がないだけでなく、グラフィティについての深い知識を持ち合わせていないため、彼らにはライバルはいない。この事情から国内にコラボレーションの相手がいないため、彼らはドイツの「Publikat」「On The Run」、フランスの「Kitchen 93」やアメリカの「Powerhouse Books」といった海外の同ジャンルの出版社とのコラボレーションを楽しんでいる。

スウェーデンではグラフィティは非合法であり、また近い将来にそれが変わることもなさそうだ。メディアにおいてはグラフィティはアートの一種ではないか?といった議論がしばしば交わされているが、それに対して変化をもたらすような政治的な動きがあるわけでもない。グラフィティはこれからも非合法のままであり続け、そのカルチャーは今後も盛り上がり続けるだろう。ドクメント・プレスは、そういった深く根付いたカルチャーについての情報を今も発信し続けている。彼らはこういったジャンルの本を出版しながら、スタッフがグラフィティについてのワークショップを開いたり、講義を行ったり、ガイドとしてストックホルムのアートスポットを紹介したり、時にはいろんなアートや政治的な集会に招待され、議論に参加している。
(Text: Gustaf Kjellin)

メール:info@dokument.org
Tel:+46-8-13 33 32

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