アヴィッチ(Avicii)

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スウェーデン発のポップ音楽が北米、アジア、欧州、南米も含め国際的なヒットにつながる例は、1970年代のABBAに始まり、1980年のロクセット(Roxette)、1990年代のエイス・オブ・ベイス(Ace of Base)、2000年代のロビン(Robyn)など途切れることが無い。そこに共通するのは、年代を超えてダンスフロアにマッチする音楽であるということである。2000年代後半から欧州を中心に広がっている、メインストリームのラジオで流れるハウス音楽の波にもスウェーデン発のアーティストやDJ達が一役買っている。2004年のヒットチューン「Call on me」で知られるDJ、エリック・プリッツ(Eric Prydz)や、グループとしての活動は短期間ではあったが、欧州や北米にまでハウスブームを広げたスウィーデッシュ・ハウス・マフィア(Swedish House Mafia)など、オランダと並んで、ハウスDJの輩出に関してスウェーデンは先進国であると言える。そんななか、ここ数年で、DJ Magazine紙が選ぶ世界のトップDJの3位に2年連続で選ばれ、ビルボード音楽賞やMTVヨーロッパ音楽賞なども受賞するなど、ハウスというジャンルを超えて知られるようになったのがアヴィッチことティム・バリン(Tim Bergling)である。

ストックホルム郊外で生まれ育ち、17歳のときに音楽制作を趣味で始める。その4年後、2010年にTim Berg名義でリリースしたシングル「Seek Bromance」がオーストラリア、ベルギー、ハンガリーなど各国でTOP10に入るヒットを記録。その当時はまだ無名であったが、2011年にアヴィッチ名義でリリースした、62年のソウルの名曲、Etta Jamesの「Something’s got a hold on me」をサンプリングした曲「Levels」が北欧各国を超え、ドイツ、イギリス、米国でもプラチナムとなる大ヒットを記録し、一躍スターダムに躍り出る。その後、2013年にはデビューアルバム「True」をリリースし、「Wake me up」、「Hey brother」など続けて世界的なヒットチューンを生み出している。

その他の著名なスウェーデン出身のハウス系のアーティストに影響を与えるProgressive Houseというジャンルに特に特徴的なのは、ソウルやファンク、R&Bといったジャンルをベースにしながら、90年代のユーロポップには典型的であった過剰なコーラスを除去したことであろう。クリーンでありながら、昔のブラックミュージックのスムースさも兼ね備えている。アヴィッチのサウンドにもこの流れが聞き取れる。そして伝統的なハウスのベースに、実験的な要素が強いことも、彼の音楽を特徴付ける。スウェーデン企業、エリクソン(Ericsson)とクラウドベースの音楽制作プロジェクトを組み、ファンからメロディー、ボーカル、ベースラインなどの各要素を集め「X You」をリリースするなど挑戦的なプロジェクトにも前向きである。また2014年に入り、コールドプレイ(Coldplay)のニューシングル「A sky full of stars」のプロデュースを務めたり、カルロス・サンタナ(Carlos Santana)、ワイクリフ・ジョン(Wyclef Jean)などのメンツと2014年夏のFIFAワールドカップのテーマソングを制作するなどプロデューサー業にも幅を広げている。デビューから4年で、ここまで世界的に活躍するようになったアヴィッチが、既に2010年代のポピュラー音楽史楽に残るスウェーデン出身のアーティストであると言っても過言ではない。

(Text: Yoshihiro Takahashi)

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